「宇宙兄弟」なにが凄いのか
宇宙兄弟が面白い
新年。
それは、人がなにをやっていても大方許される貴重きわまりない時間である。
そんな時間を私は宇宙兄弟に費やした。
ただ、全く後悔していない。
そのくらい宇宙兄弟は自分の心を震わせてくれた。
今まで数多くの漫画を読んできたが、宇宙兄弟のなにがすごいのか。
それは、台詞回しにある。
宇宙兄弟にみる類希な台詞回し
宇宙兄弟は、主人公が宇宙飛行士である弟の背を追いかけて、自分も宇宙飛行士を目指す物語である。
この説明で分かるように、この漫画ではアクション漫画のようないわゆるド派手な描写はない。
透き通るような宇宙の描写や爆音を響かせてスペースシャトルが地球から飛び立つシーンなどはあって、確かにそういうシーンを見るのは面白い。
ただ、正直、漫画だからこそ描ける描写ではなくて、映画の方がもっと綺麗に見える。
宇宙兄弟が特筆しているのは、むしろその目玉シーンまでの過程だ。
そのシーンを美しく彩どる台詞はこの漫画でしか見れない。
今回はその一つを紹介しよう。
宇宙兄弟の主人公であるムッタが厳しい選択を迫られた時、いつも出てくる台詞がある。
迷ったときはね、「どっちが正しいか」で考えちゃ駄目よ。
日が暮れちゃうわ。
「どっちが楽しいか」
で決めなさい。
主人公の恩師が幼少期のムッタに教えた言葉だが、ムッタが困難にぶつかるたびに、この台詞に従って行動を移す。
そして、その結果は往々にしていい結果に繋がる。
あるシーンでは、ムッタは自分の宇宙にいくという夢を棒に振ってしまう可能性が高まるのにもかかわらず、この指針に従って決断した。
漫画だから全部うまくいくと思うかもしれないが、私は実世界でもこれと似た経験をしたことがある。
私も就職先で迷った時、楽しそうだなと感じた方に行くことを決めた。
周りは、給料もブランドも良い方を蹴るなんておかしいと反対もしていたが、
自分の気分がそっちは昂らなかった。
結果、今自分は楽しく働いているし、もし違う選択をしていたら、ここまで楽しんでいないだろうなと思える程だ。
結局は自分が下した決断に「どれだけ楽しめるか」というのが重要なのである。
自分が行なった決断に楽しめていれば、結果的に良い方向に物事は進むのだ。
このように、宇宙兄弟は人生で自分の背中をそっと押してくれるエッセンスが数多く詰め込まれている。
是非手に取ってもらいたい。