今後のITが仕事にどう関わってくるかを読み解く
建築業界ほどIT化が遅れた業界は無い
今日は会社の先輩におすすめされた「BIM建設革命」という本が今後の私達の働き方をうまい具合に示していると感じたため、シェアしようと思う。
端的にいうと、この本は、旧態依然とした建築業界をBIMがどう変えるかを物語っている。
(ちなみに、BIMとは簡単にいうと建設業界に特化したCADソフトという理解で充分だ。)
筆者によると、建築業界ほどITによる変革を取り入れるのが遅かった業界は珍しいらしい。
しかし、私は現段階で建築業界が取り入れたITとの共存は一つの私達の働き方の模範だと考える。
まず、建築業界の仕事がどう変わったかを見ていく
プランニングの時点でどれだけ人を巻き込めるかが大事
BIMによって建設プロセスが大きく変わった一つが、設計プロセスのピークが前倒ししたことだ。
その理由は、BIMによって今までに2次元で表示されていたものが3次元になり、多くの人々の間でイメージが共有されたからだ。
<BIM導入前>
<BIM導入後>
違いは明らかであろう。
2次元だと素人が解読するのはまず無理だ。
対して3次元だと、誰でも見れば分かる。
この「誰でも見れば分かる」が重要だ。
BIMによって今までの設計図や施工図が3Dで表示されることで、多くの人々がプロジェクトの初期段階から参画できるようになった。
つまり、クライアント、施工者、設計者、メーカー、インテリアデザイナーなどといった多くの関係者がかなり早い段階で建築物の建設に関与してくる。
設計者がある程度仕事を進めて設計案が固まってから、他の人にシェアして、意見を聞くというプロセスではなくなった。
もっと早い段階のブヨブヨのアイデアから他の人に意見を聞いて、根本的なアイデアを練り上げていくのだ。
果たして計画の初期段階から多様性があったほうがいいのか?という疑問ができるかもしれない。
ただ、その答えは決まっている。
あったほうがいいのだ。
アメリカの企業が世界で通用するのは多様性のおかげ
私は高校をアメリカで過ごしたが、本当にあそこは人種のるつぼだ。
白人、黒人は当然として、アジア人、ユダヤ人、フランス人、イタリア人と色々な人種が混じり合っている。
そんな場所で会社を起こしたらどうなるか?
もちろん、様々な人達が入ってくるだろう。
プロジェクトを立ち上げると、それぞれが自身の国の文化を基にした視野の広い見解をぶつけてくる。
そうして、出来上がった物は、世界で通用するのだ。
なぜなら、他の国の意見がリアルに組込まれているから。
対して、日本の企業はほとんどが日本人で構成されている。
彼等が発信する見解は、日本の文化を基にしている。
他の国のこと見解を述べても、現地の人程リアルなことはいえない。
物作りにおいては、技術力が他を圧倒していればそこまで問題ないかもしれないが、いざ、面白いサービスとなれば、また話は違うだろう。
多様な人をまとめるスキル
要約すると、ITは、
①プロジェクトの初期段階から様々な人を巻き込める
②初期段階で多様性があればあるほど、面白いアイデアは生まれる
この二つを可能にする力があるのだ。
そして、この傾向は社会の中でもっともっと大きくなるはずだ。
ITの発達が会社の規模は小さくし、人はプロジェクトごとにチームを組んで仕事をする。
そんな中で求められる我々のスキルは、複雑でバラバラな人達をまとめあげることだし、雑多の中で自分を発信していくスキルだ。